前回は、「目で見るポイント」をお伝えしました。
その後、利用者の足をしっかりと見ていただけたでしょうか?
今回は、「触れてみるポイント」をお伝えしたいと思います。
足のトラブルには、見た目だけでは判断できないことも多くありますので、しっかりと「触れる」ことが大切です。
「目で見る」「触れる」の両面から「利用者の足の状態」を把握し、足のトラブルの早期発見と対応、悪化の予防へとつなげていきましょう。
〈3つのポイント〉
「触れてみるポイント」は大きく分けると3項目になります。
①温度、脈
②皮膚の潤い
③硬さ
①温度、脈
足の温度を確認する時は、手のひら全体を軽く押し当てるようにして触ってください。
〈ポイント〉
・指先、足の甲、足の裏、足首、ふくらはぎを触る。
・それぞれの部位の温度と、左右で違いがないかを確認する。
・左右の温度が異なる場合や、冷えが特に強い場合は、ABI検査(後述)を行う。

足先はどうしても心臓から離れている場所なので、血流やリンパの流れが滞りがちになります。
利用者の中には、よく「足先がいつも冷えている」方がいると思います。
そのような方をケアする際には、「この方はいつも足が冷たいから」の"いつも"に注意してください。
足が冷える原因は必ずあります。
例えば、血流が悪い、あまり足を動かすことがない、むくみやすいなどの「足が冷たい」の背景に隠れている「何か」を見落としていることがあります。
そのようなことも意識しながら、指先、足の甲、足の裏、足首、ふくらはぎとそれぞれ触ってみて、温度を確認するとよいでしょう。
また、多くの方は両足が大体同じ温度なのですが、稀に左右の足の温度が違う方がいます。
左右差があるのはあまりいいことではありませんので、この場合には「ABI検査(足関節・上腕血圧比)」を受けていただくことをお勧めします。
〈ABI検査〉
・足首と上腕の血圧を比することにより、動脈の狭窄や閉塞が推測できます。
・寝た状態で両腕、両足首の血圧を測定し、以下の計算をします。
【計算式】
ABI=(足首の最高血圧)÷(上腕の最高血圧)
※上腕血圧は、左右差が10mmHg以上の場合高い方を、10mmHg未満の場合左右の平均値を採用します
※正常値は1.00~1.29の範囲
正常な血圧では、上腕より足首のほうがやや高い値になりますが、下肢の大動脈に狭窄部や閉塞部があると足首の血圧は低下します。
したがって、下肢の血圧と上肢の血圧の比を計算すれば、その程度がわかるのです。
冷えが激しい方、左右の温度差がある方には、ぜひABI検査をしてみてください。
また、その改善に向けて事業所や自宅でできることとして、以下のようなものがあります。
・足を動かしてもらう
・足浴などを行う
・下肢を下げてばかりの方は下肢を上げてもらう
足の冷えを確認したら、それが当たり前にならないようにしましょう。

②皮膚の潤い
加齢とともに、どうしても皮膚のバリヤー機能は低下してしまいます。
だからといって、カサカサのままで放置していると、そこから菌が入り込み、炎症を起こしたり、傷になったりすることもあります。
〈ポイント〉
・カサカサを放置せず、保湿する
・清拭の時は、タオルを上手に使う
皮膚は身体を守るためにあります。
カサカサのまま放置せず、しっかりと保湿をして潤いを保つようにしたいものです。
〈保湿のコツ〉
①保湿剤を手のひらで温め、末端から中枢に向けて塗っていきます。
マッサージをするように塗ると効果的です。
②足底は少し力を入れながら全体を押すように塗りこんでいきます。
③足趾は付け根から末端に向けてやや引っ張り気味に塗布します。
④足背は両手で包み込む様に塗ると塗りやすくマッサージ効果も期待できます。
⑤下腿は手の平をピッタリと密着させ、軽く握るように塗布していくと良いです。
⑥クリームが浸透せず多めに残った場合は、ティッシュペーパーなどで軽く押さえて拭いてください。
そのままにすると滑って転倒の危険が出てきます。
清拭の時もゴシゴシ拭くのではなく、優しく押し当てるようにタオルをうまく使って拭き、その後しっかりとスキンケアをして保湿を行いましょう。
白く筋が見えるなどまだ皮膚の表面が目に見えてカサカサしだしていない頃から保湿は必要です。
また、保湿が十分されていることを図る目安は、「ティッシュペーパー1枚が皮膚に一瞬貼り付いて剥がれるくらい」と言われています。

③硬さ
硬さには、2つ確認するところがあります。
それは、「皮膚の硬さ」と「足首や足趾の動きの硬さ」です。
この2箇所を、しっかりと触れて確認してください。
〈ポイント〉
・皮膚の硬さを確認する
・むくみがある場合は、やわらかいか硬いかを確認する
・可動域を確認するために足首がどのくらい動くかどうか確認する
〈皮膚の硬さ〉
浮腫にも、柔らかい浮腫と硬い浮腫があります。
どちらのタイプかによりその後の対応が異なるため、硬さの把握は重要です。
柔らかい浮腫の場合は、足を高くするだけで改善する場合も多く見られますが、硬い浮腫の場合はなかなか改善しない場合もあります。
その旨を上司や看護師、または主治医に相談しましょう。放置が一番よくありません。
〈足首や足趾の動きの硬さ〉
足首が硬い場合は、歩行にも影響が出ます。
足首を回すことを勧めたり、職員が足首を回してあげたりと、「足首の可動域」が十分であるかどうかをしっかりとチェックしましょう。
また、足に関係してくる疾患も多くありますので、足病変の知識を持つことも大事です。
しかし、その前によく観察をし、アセスメントをしっかり行うことが大切になります。
足にトラブルがなくなれば、今までできなかったリハビリやトレーニングができるようになりますし、介助者の身体的負担も減ります。
では、なぜ介護者の身体的負担が減るのでしょうか。
例えば、車椅子からベッドへの移乗介助の時に、利用者が足にしっかりと力を入れることができれば、移乗する際の介助者の力の入れ具合も違ってきます。
それは介護技術の有無以前の問題です。いくら介護技術が長けていても、自立支援の面から、利用者の身体的残存機能を考えた時、利用者にもできるだけ自分の足を使っていただきたいのです。
そういった点も含めて「介護フットケア」は、もっともっと重要視されなければなりません。


以上、今回は「触れてみるポイント」をお伝えしました。
この内容に、前回お伝えした「目で見るポイント」の情報を加え、フットケアカルテなどに記録をしておきましょう。
記録に記入することで情報の共有ができ「利用者の足を救う」ことにもつながります。
次回は、「爪のお手入れの仕方」について具体的にお伝えしたいと思います。 |