介護スキル


【第6回】 「効果的な保湿の仕方」

 前回は、「爪のお手入れの仕方~応用編」をお伝えしました。基本的な爪の切り方を応用することで、「厚い爪」や「巻いている爪」なども整えることができますので、スタッフ同士で練習してから実践していただきたいと思います。また、ニッパーや爪切り、爪やすりの使い方は動画でもご紹介しましたので、参考にしていただければと思います。全体的に言えるのは「無理はしないこと」です。

 今回は、「保湿の仕方」についてお話ししたいと思います。

〈皮膚の機能〉

 まずは、皮膚の機能を簡単に解説します。


 皮膚には、外からの刺激や細菌などの感染から体を守るバリア機能と、血管の収縮・拡張や汗の放出により体温を調節し、体から必要以上に水分が蒸発していくのを防ぐ機能があります。そして、痛みや温度などを感じる感覚器としての役割もあります。

 表皮の一番下の層にあるメラニン細胞は、紫外線にあたるとメラニン色素をつくり皮膚の色を黒くしますが、その色素は紫外線に対するバリアの働きをしています。

〈保湿はいつから行う?〉

 皮膚のバリア機能は加齢とともに低下してしまいます。高齢者の皮膚をカサカサのままで放置すると、そこから菌が入り込み、炎症を起こしたり、傷になったりすることもあります。皮膚は身体を守るためにあるので、カサカサのまま放置せず、しっかりと保湿をして潤いを保つようにしたいものです。

 また、身体の中でも足は乾燥しやすい部位であるため、きちんとしたケアが必要です。皮膚に白い筋が見えたら、保湿が必要なサインです。清拭の時にはゴシゴシ拭くのではなく、優しく押し当てるようにタオルをうまく使って拭き、その後しっかりとスキンケアをして保湿を行うようにしましょう。

 なお、保湿が十分されている目安は「ティッシュペーパー1枚が皮膚に一瞬貼り付いて剝がれるくらい」と言われています。

 私たちは、入浴して体を洗うことで「垢(古い角質)」を落としています。しかし、介護を必要とする利用者にとって、足の裏はとても洗いにくいものです。毎日お風呂に入れない現実も重なり、角質層に剥がれ落ちないまま垢がたまっている場合が多くあります。そして、この垢は足裏だけに限らず、爪のまわりにもたまります。

 例えば、足裏の角質をそのままにしておくと、裸足になってもまるで足に合っていないインソール(靴の中敷)を付けているような状態になり、足底の感覚が鈍って転倒するリスクが高まります。高齢者にとって、「足のスキンケア」は「転倒予防フットケア」と言い換えることができるのです。

 顔や手、そして褥瘡好発部位の保湿は日常的に気をつけていることと思いますが、顔から一番遠い足の保湿は後回しにされ忘れがちです。保湿を習慣化してもらうためにも、入浴後や入眠前などの決まった時間にケアを行うようにするのもいいでしょう。

〈保湿の仕方〉

 皮膚科などで処方された保湿剤があれば、それを使用します。ない場合には、市販のものでかまいません。尿素入りの保湿剤は、乾燥のひどい高齢者には刺激が強く適さない場合があるので気を付けましょう。

 

【保湿剤を塗る手順】
 ①保湿剤を手のひらで温め、末端から中枢に向けて塗っていきます。
  マッサージをするように塗ると効果的です。
 ②【足底】少し力を入れながら全体を押すように塗りこんでいきます。
 ③【足趾】付け根から末端に向けてやや引っ張り気味に塗布します。
 ④【足背】両手で包み込む様に塗ると塗りやすく、マッサージ効果も期待できます。
 ⑤【下腿】手のひらをピッタリと密着させ、軽く握るように塗布していくとよいです。
 ⑥クリームが浸透せず多めに残った場合は、ティッシュなどで軽く押さえて拭いてください。
  特に足底をそのままにすると滑って転倒の危険が出てきます。

 上記手順については、動画も参考にしてください。

【動画解説】保湿剤を塗る手順

 繰り返しになりますが、介助の範囲でできるケアを通じて、その方が安心・安全・安楽に生活できる足の状態にしていくことが第一です。

 次回は、「高齢者の浮腫みについて」をご紹介させて頂きます。