前回は、「効果的な保湿の仕方」をお伝えしました。
顔の保湿に比べて、足の保湿は後回しにされがちです。その結果、忘れられていることも多くあります。しかし、足の保湿は非常に大切です。
高齢者にとって、「足のスキンケア」は「転倒予防フットケア」と言い換えることができることを再度お伝えし、今回は「高齢者の浮腫(むく)みについて」についてお話ししたいと思います。
〈浮腫とは〉
まずは「浮腫みとは何か?」を考えてみましょう。
体液は細胞外液と細胞内液に分けられます。そして、細胞外液は血管内の血漿と血管外の組織間液(間質液)に分けられますが、この組織間液が異常に増加した状態」を浮腫(ふしゅ・むくみ)といいます。わかりやすく言えば、「血管内の水分が血管外に漏出し、皮膚の下にある組織に余分な水分がたまっている状態」です。
組織間液が1~2L以上増加すると「むくみ」として自覚され、その出現部位により全身性と限局性に分類されます。
浮腫の原因は様々ですが、心臓から送り出された血液がうまく循環しないと起こりやすく、特に下肢の血液を心臓に戻すポンプであるふくらはぎの筋肉を動かすことが重要になってきます。

下肢の浮腫については、すねを親指などでしばらく押し、そこに生じた圧痕(くぼみ)の様子で確認できます。少し時間が経ってくぼみが戻るようであればほぼ心配はありませんが、くぼんだままの状態(圧痕性浮腫)であれば、主治医に相談したほうがよい場合もあります。
寝たきりの方の場合は、背中や仙骨部に浮腫が見られる場合もありますので、清拭や入浴介助の際に全身を観察してみてください。
〈浮腫の原因〉
①病気によるもの
心臓や静脈、リンパ管や腎臓・肝臓など、血流に関わる臓器の病気
②薬によるもの
降圧剤や向精神薬、一部の漢方薬の副作用
③その他に考えられる原因
長時間の立ちっぱなしや歩きっぱなしによる筋肉の疲労、睡眠不足などの自律神経の乱れ、暴飲暴食や飲酒、ストレスなど
高齢者の場合はすべて当てはまりますが、「③その他に考えられる原因」の中に「廃用性浮腫」が入ってきます。「廃用性浮腫」とは、いわゆる下肢の筋肉を動かさないことにより起こる浮腫です。
先に、下肢の血液を心臓に戻すためにふくらはぎの筋肉を動かすことが重要であることをお伝えしました。要介護状態になり、立ったり歩いたりすることが少なくなってしまうと、ふくらはぎのポンプがうまく作用せず、足やふくらはぎにむくみが生じる廃用性浮腫の状態になってしまうのです。

〈浮腫の治療〉
病気が原因である場合、薬が原因である場合は、医師の指示を受けてしっかりとケアをしていきます。
服薬や尿量のチェック、食事指導などが必要となりますので、自己判断は決してしないようにしましょう。
その他の原因がある場合は、原因自体がわからないことも多いですが、こちらも自己判断は禁物です。前回の保湿ケアでもお伝えしたように、強く揉んだりせず、足浴で足を温めたり、温かいタオルで清拭を行ったり、末梢から優しくなでるように保湿ケアを行ったりするとよいでしょう。
介護現場で浮腫を発見した時には、必ず「疾患によるものかそうでないか」の確認が必要です。基礎疾患や既往歴など確認し、主治医に指示を受けるようにしてください。浮腫む理由は必ずあります。
また、疾患によるものではない場合は運動不足によることも多いので、下肢を動かすリハビリやレクリエーションなども取り入れて頂ければと思います。
繰り返しになりますが、介助の範囲でできるケアを通じて、その方が安心・安全・安楽に生活できる足の状態にしていくことが第一です。
次回は、「高齢者の浮腫(むく)みについて~応用編~」として、浮腫のある方への足の運動についてお話したいと思います。
参考文献
1)系統看護学講座 専門分野Ⅱ 成人看護学3 循環器,医学書院,2019. |