介護スキル


【第8回】 「高齢者の浮腫(むく)みについて ~応用編~」

 前回は、「高齢者の浮腫みについて」をお伝えしました。

 繰り返しになりますが、介護現場で浮腫を発見した時には、必ず「疾患によるものかそうでないか」の確認が必要です。基礎疾患や既往歴など確認し、主治医に指示を受けるようにしてください。浮腫む理由は必ずあります。

 要介護高齢者では、下肢を動かしていないことにより生じている浮腫も多くあります。その場合には、本連載の第6回でお伝えした「保湿ケア」でも対応可能ですが、下肢を動かすリハビリやレクリエーションなども取り入れると効果的です。

 そこで今回は、「高齢者の浮腫みについて~応用編~」として、「浮腫のある方への足の運動」についてお話したいと思います。

〈浮腫のある方への足の運動〉

 疾患による浮腫でもそうでない浮腫でも、簡単にできる足の運動はいくつかあります。

 ここでは、「利用者本人で行える場合」と「本人では行えない場合」に分けて考えながら、足の運動をご紹介します。

1.足首回し

 足首が固くなると、つまずいたり、転倒したりする可能性が高まります。足が浮腫んでしまうと足首が曲がりにくくなりますので、リンパの流れや血流を促すために足首を回すことをおすすめします。

 ポイントは「ゆっくり回す」ことです。イラストの可動域を意識して、まずは手を使わずに回してもらいましょう。

 

 足に手が届く場合は写真1、2のように行うと、足だけで回すよりも可動域を広く取ることができます。

 自分で回すことができない利用者には、介助者が行うことをお勧めします。

 足首回しを行う際の注意点は「痛みが出ない程度に」です。無理に可動域を広げようとしてしまうと痛みが出てしまう場合もありますので、利用者とコミュニケーションをとりながら行ってください。

 

2.座って足踏み

 前回、「廃用性浮腫は、下肢の筋肉を動かさないことによって起こることが多い」とお話ししました。これに対し、座ったまま足踏みを行うことで、振動で筋肉に刺激を与えます。ふくらはぎの筋肉を収縮させることで筋ポンプ作用が働き、浮腫を軽減してくれる効果があります。

 最初はゆっくり行い、慣れてきたら走るようなイメージで早く足踏みすることをお勧めします。「疲れたら休んで、また行う」を繰り返してください。

 歩行困難な方や麻痺のある方でも、少しでも動けば筋肉が収縮しますので効果的です。寝たきりで体を動かすことができないような方には、介助者が足の裏を手のひらで支えて両足を交互に動かし、足踏みしている状態にしてあげるとよいと思います。

【動画解説】座って足踏み

 

3.座ってかかと上げ下げ

 効果は足踏みと同じです。座ったまま、「つま先立ちのようにかかとを上げ、そしてかかとを下げる」を無理のないように繰り返してください。

 利用者が自分でできない場合には、ひざの裏を手のひらで持ちあげるとかかとだけ上がりますので、それを何度か繰り返してみてください。両足同時にでなく、片足ずつでもよいと思います。

【動画解説】座ってかかと上げ下げ

 

4.座って足ジャンプ

 座ったまま、両足を弾ませるように足だけをジャンプさせます。

 この運動は下肢全体を動かすことになるので、血流の改善効果も期待できます。立ったままのジャンプと違い転倒することもなく、安全に行うことができます。

 また、足底に刺激を与えることになるため、「地に足がつく感覚」がしっかりしてくるともいわれています。

【動画解説】座って足ジャンプ

 

 今回は4つの体操をご紹介しましたが、座ったまま足を動かし浮腫を軽減させる方法はまだまだあります。是非、レクリエーションや日々のケア、リハビリなどに導入していただければと思います。

 繰り返しになりますが、介助の範囲でできるケアを通じて、その方が安心・安全・安楽に生活できる足の状態にしていくことが第一です。

 次回は「下肢を重視したレクリエーション」のお話をさせて頂きたいと思います。

引用・参考文献
1)米本恭三他:関節可動域表示ならびに測定法(平成7年4月改訂),リハビリテーション医学,Vol.32,No.4,P.207~217,1995.
2)吉田俊子:系統看護学講座 専門分野 成人看護学〈3〉循環器,医学書院,2019.
3)一般社団法人フットヘルパー協会基礎講座テキスト