1.令和3年度介護報酬改定5つの柱
令和2年10月9日の介護給付費分科会にて、図1のような5つの柱が示されました。各項目の概要は図2に記載の通りです。


今回の分科会では、基本的な視点として「感染症や災害への対応力の強化」が項目として新たに追加されました。これは、依然猛威をふるい続ける新型コロナウィルス感染症や、今年度も深刻な被害をもたらしている自然災害を受け、これまでも意見としては上がっていたものです。
(参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000647284.pdf)
この項目は、刻々と状況が変化し続ける感染状況と密接な関係があり、動向が読みづらいので割愛し、今回はこれを除いた4つのポイントを整理していきましょう。
2.地域包括ケアシステムの推進
図2の概要には、「推進」や「強化」など抽象的な文言が続いており、非常わかりづらいのが特徴ともいえます。簡単にまとめると、「団塊の世代がもれなく後期高齢者となる2025年と高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えて、地域包括ケアを推進していこう」ということです。
審議会の中では、次のような意見により、「包括報酬のサービス拡大」について言及されていました。
・「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」、「夜間対応型訪問介護」、「小規模多機能型居宅介護」、「看護小規模多機能型居宅介護」の4つのサービスをシンプルにすることを検討していくときではないか。
・高齢者の状態変化にきめ細かく対応するためには、地域密着型サービスのような複合型で、かつ包括報酬で支払われるサービスの拡大について議論すべきではないか。
これらの情報は、注目に値するでしょう。最終的に国の思惑として、「介護保険給付は要介護3以上に限定し、尚且つ包括報酬のサービスに集約したい」という意図が読み取れます。
訪問介護や通所介護など所謂「出来高」のサービスは、いずれ包括報酬サービスへの転換を迫られる可能性がありますので、転換の準備やリサーチは必須と言えます。
2.自立支援・重度化防止の取り組みの推進
本連載の第1回(10/6配信)では、「今後の法改正は『介護予防』と『看取りケアの促進』が中心になってくる」とお伝えしました。
「自立支援・重度化防止の取り組みの推進」には、「『介護予防』に取り組み、社会保障費を抑制したい」という国の思惑が大きく働いています。次回の法改正で最も注目される項目かもしれません。
目玉は何といっても「アウトカム評価」でしょう。審議会の中でも、『アウトカム評価へのシフト』や『リハビリテーション領域以外のサービスにもアウトカム評価を導入』といった意見が出されています。
前回の法改正でデイサービスに導入された「ADL維持等加算」が非常に低い算定率であることは、第1回でもお伝えさせていただいた通りです。それを受けて、次のような意見も聞かれています。
・ADL 維持等加算について、 Barthel Indexを評価指標として使っていくことは、介護現場における使用率等からも適当なのかどうか。
これに関して率直に申し上げると、国としてもBarthel Indexが適した評価指標とは考えていません。誰がどう考えても、あまり使いやすい評価指標とは言えないのは間違いないでしょう。
次回の法改正で「ADL維持加算の拡充」、もしくは「新たな加算」が新設される際に、この評価指標が見直される可能性はあります。いずれにしても、各事業所では今のうちから【評価に慣れておく】ことは非常に重要です。
3.介護人材の確保
図3の通り、介護関係職種の有効求人倍率は約4倍と高い水準で推移しています。

コロナ禍の影響で若干数値が下がっていますが、これは一過性のものと思っていた方が良いでしょう。
訪問介護においては、実に有効求人倍率約15倍との報告もされました。これは、実に一人の求職者を15事業所で奪い合うような構図となっているということです。介護業界に於いては最も深刻な項目と言えるでしょう。
審議会では、「人材のシェア」や「配置要件の緩和」などが叫ばれていました。中でも、次の意見は注目に値するでしょう。
・単一のサービス、小規模事業所をたくさん整備していくよりも、これからは医療ニーズにも介護ニーズにも応えられるような、1つの事業所の多機能化を推し進めていく必要があるのではないか。
現在財務省が主導して、事業規模の大きい法人を主体に介護事業を担わせようという動きがあります。その結果、事業所の統廃合が進んでいる側面もあります。
上手く人材を活用するためにも、【大規模多機能】という観点での事業運営は、これから必須になっていくのは間違いない状況です。
4.制度の安定性・持続性の確保
この項目では、「介護サービスの適正化、重点化」といったキーワードが非常に多用されています。
次回の法改正では見送られましたが、「要介護1・2の利用者の訪問介護(生活援助)、通所介護からの切り離し」や「負担割合を段階的に引き上げていく施策」は必ず実施されていきます。
2024年法改正を見据えて、対策を準備しておく必要があるでしょう。
5.まとめ
コロナ禍の影響もあり審議が遅れている状況ではありますが、次回の法改正はやはり2024年法改正に向けての【準備改正】としての側面が強いものとなりそうです。
表面上はプラス改正になる可能性もありますが、そこに捉われず改正内容の真贋を見極めるスキルが介護事業経営には必要です。
次回以降も最新の情報を織り交ぜながら、各論にも触れていきたいと思います。 |