1.科学的介護の本格導入
本連載内で繰り返しお伝えしているように、2021年の報酬改定は"科学的介護元年"と言っても過言ではありません。資料1に示されるその全体像からも、力が入っていることが伝わってきます。
※CHASE・VISITは、今後『LIFE(ライフ)』という統一名称になる予定です。
そのため、本連載でも今回からその表記をLIFEで統一します。

この象徴として、全ての利用者のデータをLIFEに提出すること、そして、そのフィードバックを受け、PDCAサイクルの推進・ケアの質の向上にあたる取り組みを評価する加算として、科学的介護推進体制加算が創設されました(資料1の緑色の部分)。
また、その他の多くの加算についてもLIFEへのデータ提出とその活用を求められることとなりました(資料1の青色の部分)。
では、科学的介護推進体制加算をはじめに、LIFEに関連する主だった加算の算定要件などをみていきましょう。
(1)科学的介護推進体制加算
科学的介護推進体制加算の算定要件は、下記の通りです(詳細は資料2参照)。
・ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他心身の状況に係る基本的な情報を厚生労働省に提出する。
※科学的介護推進体制加算Ⅱの算定では加えて疾病の状況や服薬情報等も必要
・必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービス提供に当たって、上記の情報、その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用する。 |

科学的介護推進体制加算は、かなり幅広い内容をLIFEへ提出する必要があるので、決して楽に算定できるわけではないと考えられます。しかし、文字通り科学的介護の推進が目的の加算であり、今後もこの方向性を拡充していくのはほぼ間違いない状況なので、確実に算定することが重要です。
(2)ADL維持等加算
前回の介護報酬改定では、アウトカム評価の目玉としてADL維持等加算が新設されました。しかし、算定要件のハードルが非常に高く、それに対する報酬単価も低すぎたことから、その算定率は非常に低い水準となっていました。
今回の介護報酬改定では報酬単価が10倍となり、算定要件も大幅に緩和されました。対象も通所介護に加えて、介護老人福祉施設や特定施設入居者生活介護などが新たに加わり、この加算を拡大していきたいという国の意図がよく汲み取れる内容となっています。
地域密着型通所介護での算定もできるようになりますので、所謂リハビリ特化型のデイサービス(短時間型二回転)での算定が容易になった点は大きいといえるでしょう。

また、調整済みADL利得が1以上というのがADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件となっており、2以上であれば、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定が可能となります。つまり、ADLが維持されていれば、ADL維持等加算(Ⅰ)の算定が可能となり、改善率が高まればADL維持等加算(Ⅱ)の算定が可能ということになります。
なお、調整済みADL利得はBarthel Indexを用いて算出しますので、今すぐにでもBarthel Indexを用いた評価に慣れておく必要があります。
また、算定要件は緩和されたとはいえ、複雑であることは間違いありません。加算取得にあたり、今後出されていく「通知」や「Q&A」を読み込んでいくことが重要です。
(3)自立支援促進加算
今回の報酬改定では、介護老人福祉施設などに自立支援促進加算が新設されました。この加算には、施設サービスでも介護予防の観点を持ち、介護度の悪化を防ぎたいという強いメッセージを感じます。

自立支援促進加算の算定には医師の評価が必要ですので、具体的な連携方法を算定前に詰めておく必要があります。今後、算定要件の詳細や書類様式などが示される予定ですので、こまめに情報を収集し、該当するサービスでは本加算の算定ができるように準備を進めていきましょう。
(4)褥瘡マネジメント加算
これまで、本連載でも施設サービスへのアウトカム評価導入についてお伝えしてきました。それに該当するのが、褥瘡マネジメント加算と後述の排泄支援加算です。

褥瘡マネジメント加算は、これまで3か月に1回の算定だったのですが、毎月の算定が可能となりました。その算定にあたっては、褥瘡対策のケア計画書の作成が求められています。

また、褥瘡が発生していない場合は、単価の高い褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)の算定が可能となります。つまりは、褥瘡発生率が低ければ低いほど高単価の報酬がもらえるということになります。
上述のフォーマットに記載されている褥瘡ケア計画だけでは褥瘡予防は不十分ですので、ブレーデンスケールなどを用いてより細やかなアセスメントをすることをお勧めいたします。
(5)排せつ支援加算
排せつ支援加算についても、制限なく毎月の算定が可能となりました。

この算定にあたっては、排泄支援ケア計画書の作成が求められています。

排せつ支援加算(Ⅱ)算定のためには、排尿または排便状態のどちらかの改善か、おむつの使用がなくなることのいずれかが求められ、排せつ支援加算(Ⅲ)の算定にはその両方が求められます。
着目すべき点は、排尿または排便状態のどちらかの改善で良い点です。排尿のアセスメントは非常に難しいので、まずは排便状態の改善に取り組むと良いでしょう。
また、その際には、服用している下剤等の見直しや、ブリストルスケールなどを用いた便性表記の統一などを進めると効果的です。
2.まとめ
今回ご紹介した加算の全てにおいて、LIFEへのデータ提出とフィードバックを受けることが算定要件に含まれています。全介護サービスでLIFEの活用を求められているといっても過言ではありません。各種加算算定のための事務作業は確実に増えるはずですので、LIFEと現在使用しているシステムの連動(今後の予定を含めて)などを今のうちから確認しておきましょう。
中には、「複雑だから4月から算定しなくてもよい。」と考える施設もあるでしょう。しかし、介護報酬改定によって変化が求められているわけですので、4月に改定されるタイミングでの算定を目指した方が、現場スタッフの理解と協力を得やすいとも考えられます。
いずれにしても、今のうちから準備を進めておくことを強くお勧めいたします。 |