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「LIFE」の入力作業で負担感が大きいものとして、個別機能訓練のICD10(病名分類のコードナンバー)とICF(国際生活機能分類)の入力作業の大変さが話題に上ります。
ICFの入力は、介護サービスを利用した時間の経過とともに発生する変化(アウトカム)を捉えるのが目的ですから、私たちのケアの質(成果)を確認する作業ともいえるでしょう。この大変さは受け入れていかなくてはならない部分です。
一方で病名のコードナンバーは、既往歴を本人や家族から聞き取ったり、かかりつけ医から提供された情報を拾ったりするなどして入力します。これを最初からICD10 での分類コードナンバー付きで教えてもらえるのであれば簡単ですが、病名からコードナンバーを探し出さなければならないのが厄介です。
例えば病名に腎機能障害と書かれていても、慢性腎臓病(N18)、腎尿細管機能障害性腎障害(N25.9)、または詳細不明の腎不全(N19)など、どれで入力するか悩ましいことになります。
参考:厚生労働省 疾病、傷害及び死因の統計分類 https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/
かかりつけ医に確認するのが1番正しい対応ですが、コロナ禍で多忙な状況を考えると気が引けますし、人数が多いと確認の作業の手間も膨大になります。また、かかりつけ医が病名の診断をしたとは限らないため、その確認にはさらに手間がかかる場合もあるでしょう。
一方で、新たな病気を発症しない限りコードナンバーは変わりません。既往歴などは基本データに近いと言えるかと思います。
〈「省力化」は"連携"によって生まれる〉
このような作業苦の例を通して何が言いたいのかといえば、データヘルス改革での「省力化」は"連携"によって生まれるのだということです。
病名のように変化することの少ない本人の基本情報を共有することによって、再入力の手間や医師への確認の手間が省ければ、新しい利用者を受け付けるときの作業は大幅に軽減されると言えないでしょうか。
またアウトカム評価の結果を分析して効果を検証するときに、デイサービスやデイケア、ショートなどの通い先の判断で病名コードが変化してしまうと、精度の高い答えが得られにくくなります。
"DPC-介護DBの連結解析"でも問題となっているのが、やはり病名の整合性です。日本では結婚や離婚で姓が変わったりしますので、氏名の整合性についても同様に考えなければなりません。
また、レセプトは医療費請求の記録です。治療は命にかかわりますので、保険者は「ナンバー登録がない」といった大きな過誤でもない限り、氏名の一字違いやひらがなとカタカナの違い程度は受領して医療費の支払いを行います。
しかしコンピュータは厳密なので、そのような違いでも受け付けません。DPCを長期間で突合して解析すると、全体の25%近くがこのような"何らかの瑕疵のあるデータ"となってしまい、ビッグデータとしての質を低下させています。
〈連携により文書量半減効果も〉
そして連携での「省力化」の最大の効果は、介護請求ソフトが連携して事業所相互のケアプランや実績データの共有が実現した場合に出てきます。
毎月FAXで事業所ごとにやり取りしているケアプラン提供表や実績のやり取りが、パソコン上だけで互いに送受信でき、リアルタイムで反映され確認できるようになるのです。個人情報保護のために行っているわずらわしい名前消し作業や、FAX送信に対する受け取り確認FAXのように無駄の塊のような作業から解放されます。
これだけでも、文書の作成量が半減できるのではないでしょうか。

〈医療分野で進む患者情報連携〉
先行して医療分野ではマイナンバーカードの運用が開始され、2021年10月からはレセプトに基づく過去の処方・調剤情報が閲覧できるようになります。
2022年夏には、前述したような利用者の基本データ連携が、「マイナポータル」と呼ばれるシステムで医療機関や薬局の間で実現することになっています。薬剤処方・調剤情報といった処方箋情報が、リアルタイムで互いに閲覧できるようになるのに加えて、手術・透析情報などの医学管理情報や通院中の医療機関名、処方担当医が分かるようになります。
マイナポータルとは、個人情報をインターネットのクラウド上で一括管理することで、本人の同意のもとに全国の医療機関や薬局で医療情報を共有し確認できる仕組みです。マイナポータルで取り扱われる利用者の基本データは、PHR(Personal Health Record)と呼ばれています。そして、これが将来的に介護分野とも連携するようになるのです。

〈介護分野での工程でも個人基本データの連携から改革は進む〉
では、いつから介護事業所間のデータのやりとりが開始されるのでしょうか。昨年(2020年)には、北海道で日本介護支援専門員協会とNTTデータ、NTTデータ経営研究所合同の実証実験が行われ、文書量削減効果の検証がなされました。
また、内閣府からは2021年6月4日に工程表も発表されました。

この工程表によると、デジタル庁主導で2022年度にも介護事業所間での情報連携・共有の検討が予定されています。また、「マイナポータルと民間PHR事業者のAPI連携開始(2021年度早期~)」と示されています。
この両方が組み合わさると、第5回でも取り上げた「現在使用中の介護請求ソフト会社の見直しが必要となる時期」と、「API連携対応能力が業務上より重要となる介護サービスの種類」が明確になってきます。
工程表には大事そうに項目として取り上げて書かれているものの、その重要さの意味が分からないため"自分達には関係がないもの"と感じる方も多いと思いますので、次回はこの「API連携開始」の意味についての解説を入れておきたいと思います。
デジタル化がテーマなため、申し訳ないと思いつつも福祉分野では馴染みのない専門用語が多くなっています。頭が痛いかもしれませんが、もう少しお付き合いください。
引用・参考文献
1)厚生労働省 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会(第8回)(令和3年3月17日) 資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000754441.pdf
2)厚生労働省 データヘルス改革に関する工程表について(2021年6月4日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000788259.pdf
3)内閣府:規制改革推進会議 第7回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第 (令和2年2月20日) 資料1
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/20200220/200220iryou01.pdf |