デイサービス・デイケアの問題点

 「デイサービスとデイケアの違い」を明確に説明できるケアマネジャーは,なかなかいません。それもそのはず,ほとんどの施設において,時間区分は,デイサービス7時間,デイケア6時間と,1時間しか差がありません。加えて,提供するサービスも入浴にリハビリテーション(機能訓練)に食事,レクリエーションと,大差ない場合が非常に多いのが現状です。

 なぜ,このようにサービス内容が似通ってしまったのでしょうか。その答えの一つとして,利用者や家族にとって『便利』なサービスであり,ケアマネジャーとしてケアプランに位置づけやすかったことが挙げられるでしょう。加えて,今でこそ声高に叫ばれるアウトカム評価なども当初はさほど求められておらず,たとえ利用者のADLなどが改善されなくても,報酬単価は変わりません。言葉は悪いのですが,6~7時間にどのようなサービスを提供しようが(法令に則っていることが前提ですが),売上は全く変わらないわけです。

 このような理由から,デイサービス,デイケア共にさほど違いを打ち出す必要もなく,ケアマネジャーはどんどんケアプランに位置づけてくれるので,隆盛を誇ってきました。しかし,そんな両サービスにも法のメスが入りました。

デイサービス,デイケアの機能と対象となる利用者像

 平成27年度の介護報酬改定で,デイサービスの報酬単価は大きく引き下げられました。その根拠とされたのは,10.6%と非常に高い収支差率です。つまりは「儲けすぎ」と国に判断されてしまったのです。本改定では中重度や認知症に関する加算が新設され,さらに個別機能訓練加算の単価も上がりました。デイサービスは中重度者や認知症の人を対象にしつつ,機能訓練にも力を入れるという方向を示した改定でもありました。

 そして平成30年度の介護報酬改定では,デイケアの報酬単価が大きく引き下げられました。特に6時間以上の時間区分の単価の減算が顕著となっています。一方で,3時間程度の短時間に関しては単価がほぼ据え置かれました。介護予防リハビリテーションマネジメント加算が新設され,この算定も込みで考えると要支援者の報酬単価は引き上げられています。

 また,デイサービス,デイケア共に時間区分が1時間刻みになり,従来のデイサービス7時間,デイケア6時間はそれぞれ減算とされています。前述のとおり,デイケアの6時間以上は減算されましたが,デイサービスでは全体的に8時間以上の長時間が比較的優遇されています。

 この2つの改定で,デイサービスとデイケアに求められる利用者像と運営時間が明確化されました。簡単に言うと,【デイケア=軽度者】【デイサービス=中重度者】とかなり明確にターゲットが示されたのです。

 デイケアには軽度者を対象に短時間で徹底したリハビリテーションをすることを求め,デイサービスには中重度者を対象に長時間でレスパイトサービスに力を入れることが求められたというわけです。

デイサービス,デイケアのサービス提供と機能の違い

 もともとデイサービスとデイケアに求められている機能はのとおりです。目立つのは,デイサービスにはレスパイトが求められていて,デイケアにはリハビリテーションと心身機能の回復が求められているという点です。つまり,もともとデイケアにはレスパイト機能は求められていないにもかかわらず,前述のように多くのデイケアがデイサービス同様のレスパイトサービスを提供してきました。平成30年の改定でついにメスが入り,リハビリテーションを強化することがより強く求められたのです。

 皆さん自身が実際に行うことを考えれば想像に難くないと思いますが,リハビリテーションで身体を動かすことに長い時間を費やすことは難しい。つまり,デイケアはリハビリテーションを通じて,心身機能の維持・回復に努める施設なわけですから,あまり長時間のサービス提供を想定していないことを明確にしたというわけです。

 また,デイケアにはデイサービスと異なり,心身機能の回復も求められています。ここがデイサービスとの非常に大きな違いです。デイケアでは自宅で生活するために必要な実践的なリハビリテーションによって,心身機能を回復させることが重要な機能ということになります。そのため,デイケアで求められるリハビリテーションには医師の指示が必要で,理学療法士や作業療法士など専門職にしか担えないことになっているのです。

 一方,デイサービスに求められる機能として最も大きなものは,レスパイトです。なので,デイサービスの時間区分は長時間が優遇される形となっているのです。ただし,にあるように,いわゆるICFでの心身機能・活動・参加に資するサービスを提供して初めてレスパイトとなることが明記されています。個別機能訓練加算Ⅰは心身機能の維持・向上に資するサービスを提供する加算です。同様に個別機能訓練加算Ⅱは,活動と参加に資するサービスを提供する加算となっています。つまり,換言するとデイサービスは個別機能訓練加算を算定して初めてレスパイトを実施しているということになるのです。

 

デイサービス,デイケアの今後の方向性

 デイサービスに関して,要介護1・2の方を総合事業へ移行させる審議が繰り返されてきました。次回令和3年の介護報酬改定では見送られる予定ですが,今後間違いなく移行は実施されるでしょう。つまりデイサービスのメインターゲットは要介護3以上の人とならざるを得ないということです。長時間運営でレスパイト機能を強化する必要がありますが,前項で触れたとおり,個別機能訓練加算の算定も同時に求められていると言えます。加えて,平成30年法改正で導入されたADL等維持加算のように,アウトカム評価もさらに強化されていくでしょう。中重度者への機能訓練を実施し,なおかつADLの維持・改善等具体的な成果を求められていく可能性が非常に高いと言えます。

 一方,デイケアはリハビリテーションをいっそう強化することが求められるので,必然的に短時間運営が主体となっていくでしょう。これは,平成31年3月31日で、維持期・生活期リハビリテーションが医療保険から介護保険に完全移行したことも大きく影響しています。簡単に言うと,整形外科などの外来で提供していたサービスが,要介護(支援)認定者に関しては介護保険に移行し,医療保険では請求できなくなりました。これはつまり,デイケアにとって今後多くの競合施設が出てくる可能性があるとも言えます。

 このように,デイサービスはレスパイトサービスの強化が,デイケアはリハビリテーションの強化がいっそう求められているのです。

まとめと今後の課題

 デイサービスに関して,国は本気で増えすぎたと考えています。今後も施設数を減らすべく,報酬単価を下げていくなど厳しい対応が予想されます。現状,デイサービスは便利すぎるサービスなのです。中重度者を対象に,レスパイト機能を強化しつつ目に見える成果(心身機能の維持)を出していくために,提供しないサービスを決めることも実施せざるを得ないでしょう。何でも屋さん的なデイサービスを経営できる時代は終わりを告げたと言っても過言ではありません。

 一方,デイケアはデイサービスとの差別化を図るため,短時間のリハビリテーションを提供し,ADLの回復等具体的な成果を出すことがいっそう求められるようになっていきます。そのためにも,いち早く6時間運営から3時間以下の短時間運営へ転換することが必要です。

 デイサービスとデイケア双方に言える課題は,『具体的な特長の打ち出し』です。それぞれのサービスを利用した場合,どのような効果が得られるのか。また,その効果はどのようなサービスによってもたらされるのか。こういった具体的な特長を打ち出さねば,今後メインターゲットになる団塊の世代の利用者に選ばれる施設とはなり得ないでしょう。

 「皆さんの施設は何屋さんですか?」

 こういった質問に明確に答えられる施設が,勝ち残る施設と言えるのではないでしょうか。