相談員の部屋


【第2回】 「受験勉強の進め方と時間管理」

〈勉強のルーティン〉

 わたしは平日フルタイムで働いているので、晩御飯を食べ終わり一息つくくらいの時間帯、20時~21時30分の一時間半を勉強時間にすると決めました。T大学のS先生には、「生活のルーティンは大切だと」教えて頂きました。

 次に、先生の助言①1日10問の過去問に取り組む、②解説を読む、③出題されたところを参考書の中に探し線を引く」という課題について、どのように取り組んだのかをご紹介したいと思います。

 この①→②→③が一連の流れとなるのですが、この作業が困難を極めました。

〈参考書に線を引くまでの流れ〉

 例えば、過去問として次のような問題があったとします。

問題26【現代社会と福祉】
1973年(昭和48年)の福祉元年に実施した福祉政策に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。
2 標準報酬の再評価を行い、厚生年金では「9万円年金」を実施した。
3 被用者保険における家族療養費制度を導入した。
4 老人医療費支給制度を実施して、60歳以上の医療費を無料にした。
5 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化された。

 解説を読み参考書に線を引く、また書き加えなければならないのですが、1についての解説には、次のように書かれていました1)

1 公的年金保険制度に、物価の変動に合わせて年金額を改定する物価スライド制の導入などが行われ、年金給付水準が引き上げられた

 「物価スライド制」というキーワードが出てきたので、参考書後半に記載されている索引から探すと、3ページに記されています。ここで作業を困難とする壁が現れます。参考書の科目範囲に記述しているキーワードの文脈と、解説のキーワードの文脈が一致しているとは限らないのです。

 もう少し詳しく説明しますと、「物価スライド」についてあるページには、『老人医療費支給制度の実施や年金支給額の物価スライド制の導入が行われた。』、その次のページには『1973年この年を福祉元年という。オイルショックが起こり、高度経済成長が終わる。以降、福祉見直しが進み、年金に物価スライド制が導入される』、また別のページには児童扶養手当の算定が説明されており『(注1)基本額については物価スライド制を適用し、1993(平5)年の物価指数を基に支給額を決定する』と書かれています2)

 問題と解説にそって考えると、アンダーラインを引くのは【現代社会と福祉】ではなく、【社会保障】という科目なります。そして、参考書に書かれておらず解説に書かれている事があれば転記する作業までを行うのです。一問につき、選択肢が5つあるのでこの作業を5回繰り返すのです。

 このような煩雑な作業ですので、過去3年間分1日10問の過去問に取り組むという目標は『言うは易く行うは難し』でした。またこの期間、3年分の過去問に取り組んだのですが、年毎にマーカーの色を変えました。結果的に三色の色で塗られたキーワードは、よく試験に出る部分で重要だという事になるので特に意識して覚えるようにしました。

〈生活のリズムを崩さない〉

 思いがけない困難の壁が立ちはだかりましたが、そのような中でもわたしが優先したのは1日過去問10問をノルマにするのではなく、20時~21時半を勉強時間とし生活リズムを崩さないという事でした。年齢的に四捨五入すれば50歳になるわたしは、若い頃と比べ疲れも抜けにくく、健康診断でもいろいろな数値にリスクが潜むようになっていました。

 試験までの約4カ月間は、短くもあり長くもあります。「少しの無理で留める」という基準を持つことは、試験勉強で燃え尽きないという意味でも大切だと思います。

〈週末に遅れを取り戻す〉

 それでも、日々の目標が達成できず、少しずつ遅れが出てきました。そこで、平日の遅れは週末に取り戻すということにしました。

 急な残業や夜の会合などで勉強する時間が取れない事もありましたし、モチベーションが上がらず、その時間ボーっとしている方が長い日もありましたが、週末である程度補うという保険のおかげでコツコツと取り組むことができたように思います。「コツコツ取り組む」ということは、なるべく生活のリズムを崩さないことなのだと思います。

〈新聞を読もう〉

 また、試験勉強と同時に取り組んだ事があるのでお伝えします。それは、新聞をよく読むことです。わたしは、もともと朝食を食べながら新聞に目を通す習慣がありました。しかし、じっくり読む事はせず、太字の見出しに目を通し、気になる記事があれば内容に目を通すという読み方でした。

 試験勉強を始めてからは、特に社会面の記事を読むように意識しました。すると、勉強の中で出てきた単語や法律、事業などが書かれており、解説まで書いてくれているときもあります。「新聞記事と参考書の上だけで覚えた単語が自分の生活にとって身近な事として変換されていく過程」は、思いのほか良い刺激になりました。

 自分が取り組んでいる試験勉強が、自分の生活を取り巻く社会を知る上で無駄にはならないのだと知ったことが、モチベーションを保つ一つの要素になったように思います。紙媒体でもWEB記事でもどちらでも良いのですが、試験勉強期間中だけでも新聞を読む事をおすすめします。

◆  ◆  ◆

 今回はここまでです。

 次回は、受験対策セミナーや模試の活用についてお伝えしたいと思います。

引用・参考文献
1)日本ソーシャルワーク教育学校連盟編:社会福祉士国家試験過去問解説集2022、中央法規出版、2021.
2)医療情報科学研究所編:社会福祉士国家試験のためのレビューブック2022、メディックメディア、2021.