当法人グループの概要(図1)
当グループは,茨城県の北部常陸大宮市にある志村大宮病院を中心とした医療法人博仁会と社会福祉法人博友会,有限会社いばらき総合介護サービス,学校法人志村学園を運営しています。病院(一般病棟,回復期病棟,緩和ケア病棟,医療療養病棟)を中心に,常陸大宮市では旧町村ごとに,常陸大宮市以外の城里町,水戸市,笠間市,ひたちなか市と介護サービスを展開しています。そのうち通所介護事業を行っているのは,医療法人と社会福祉法人博友会です。
通所介護は,医療法人博仁会で6事業所,社会福祉法人博友会で4事業所,計10事業の運営をしています。その10事業所は,リハビリ機能強化型デイサービスとして運営し,機能訓練指導員としてリハビリ専門職である理学療法士もしくは作業療法士を配置しています。

「ADL維持等加算」を算定する上での体制整備
BIの導入
通所介護におけるBarthel Index(以下,BI)の評価は,当法人では平成27年度4月より導入しました。導入のきっかけは,平成27年度介護報酬改定で通所リハビリテーションの参考様式にBIが導入されたことです。それまではFunctional Independence Measure(FIM)評価を行っていましたが,生活期の評価を統一するため,通所介護においてもBIの導入に至りました。
その結果,平成30年度介護報酬改定においてADL維持等加算が新設され,前年にBIをとっている事業所で算定要件を満たせば算定可能となり,初年度の平成30年4月より算定を開始しています。平成30年度は10事業所中7事業所で,平成31年度は9事業所で,令和元年度は全10事業所で算定しています。
実践するための人員体制
当グループの通所介護では,機能訓練指導員としてリハビリ専門職を配置しているため,特に問題なくBIを導入できました。平成27年度介護報酬改定により,FIMからBIに評価方法を変更した際に,全事業所の機能訓練指導員で再度BIの評価方法を確認し,全事業所で統一された評価ができるよう体制整備を行いました。さらに,看護師がBIを評価できるように,評価方法の勉強会を開き,リハビリ専門職と一緒に評価を行いながら伝達しました。現在では,リハビリ専門職および看護師の機能訓練指導員がBIの評価を行える体制となっています。
また,平成30年4月の算定に向けて,当法人グループのリハビリ強化型デイサービス10事業所分のBIについて,評価結果の整理,加算算定の要件に該当しているかの確認を行う必要がありました。初年度は,各項目の確認を10事業所分一括して行う体制を整えました。これは,初めての加算算定であり,確認する項目も多く,各事業所で手順・考え方が異なる可能性があることから,初年度の確認を行いながら,今後の管理方法などの検討も同時に行おうと考えたためです。
評価における留意点
BIの評価に伴い,測定マニュアルを作成し,当グループ事業所での評価方法に差異が出ないように実施しています。利用者の自宅で実際に生活している場面での状況か,事業所での状況かなど,各事業所で判断が変わることなく統一された評価となるようにしています。そのために,10事業所の機能訓練指導員が参加する月1回のミーティングでは,症例を通して評価精度の標準化を行う勉強会を開き,適切にBIを評価測定できるようにすると共に,初回月と6カ月後の評価は同一人物が行うようにしています。
「ADL維持等加算」算定の実践
BIの評価は機能訓練指導員が行う必要があるため,リハビリ専門職を中心に看護師と実施し,特に評価が難しい利用者はリハビリ専門職が評価を行っています。当グループでは個別機能訓練加算Ⅰ,Ⅱを併算定しており,少なくとも2人の機能訓練指導員を配置し,BIの評価を行っています。3カ月ごとにBIの評価を行い,その後カンファレンスを実施して多職種で最終確認を行い,グループ独自の管理表で管理しています(資料)。


BI評価後は,管理表に記入します。現在は支援相談員が中心となり管理しています。当グループで使用しているフォーマットは,必要情報を入力すると算定基準に該当するか否かが自動的に計算されるようになっています。初年度は算定基準ごとに確認を行っていたため時間がかかってしまいましたが,確認作業と並行して管理表を作成したことにより,次年度から管理表で管理することができ,初年度のような時間をかけずに算定できています。また,ADL維持等加算Ⅱを算定しているため,BI評価値を測定した際には毎回報告をしています。
これから導入する事業所へのアドバイス
ADL維持等加算を算定するには,BI値が必要です。算定する年の前年度の1月から12月までが評価対象期間となるため,ADL維持等加算の算定を検討している段階で,まずはBIを評価しなければなりません。自治体により期日は異なりますが,算定する年の前年度の1月から12月までの評価期間で初回月と6か月後のBI値について,届け出を行う必要があります。そのため,遅くとも算定する年の1年前から準備を進めなければなりません。
当グループでは,ADL維持等加算が新設されてすぐ,平成30年4月から算定していますが,前年度のBI値からの利得の算出,各算定基準に適合しているかの確認には時間を要しました。新設直後で情報があまりない中での作業となったこともありますが,特に時間を要したのは「評価対象利用期間の最初の月の時点で,初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であったものが15%以下であること」という項目です。これは,認定期間は把握していても初回認定日が分からない利用者が多くいたためです。そのため,今後算定を考えている事業所は初回認定日を把握しておくことが重要であると考えます。
また,BIの評価は機能訓練指導員が行うことになっているため,今後BIを評価していく事業所は評価時間を確保しなければなりません。機能訓練指導員としての業務を行いながら評価の時間を確保するためには,業務の見直しが必要です。評価期間の管理,算定状況を満たしているかの確認,報告時期の確認など,役割を決めて管理していくシステムをつくることが重要です。
まとめと今後の課題
ADL維持等加算は,一人当たり最大6単位であり,「かかるコスト・手間に比べて,単位数が割に合わない」と考え算定していない事業所が多くあるようです。しかし,当グループとしては,生活機能維持・向上,自律支援に対しての取り組みを評価してもらえる加算であると考えます。単位数は決して高くはないものの,アウトカムを評価される加算であるため,今後も通所介護において重要となる加算の一つであると考えています。
これまでは機能訓練指導員が中心となり算定をしていましたが,働き方改革を踏まえ業務分掌を行い,多職種で行うようにしています。
初年度はBI値の整理,基本情報の確認,算定基準の確認など少々手間がかかりますが,ルーチンになることで,それほど負担にはならずに実施できるようになりました。BI評価など時間を要する業務はありますが,利用者のマネジメントをする上では必要なデータであると考えます。ADL維持等加算のための評価と考えるのではなく,自事業所のサービスの質向上のための業務の一つと考え,評価する必要があるのではないかと考えます。
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