●介護業界の現状
皆様ご承知の通り、介護施設での人材確保、人材定着については、依然として全国的に厳しい状況にあります。

その背景には、以下のような介護業界の現状があると考えられます。
〈介護業界に対するマイナスイメージ〉
介護業界には、「3K」(きつい、汚い、危険)や「ブラック企業」(残業が多い、休みが少ない、給料が安いなど)といったようなマイナスイメージがある
⇒ そもそも就職希望者が少ない
〈職場環境への不満〉
「業務への不安」「負担が大きい」など、職場環境に不満を持って離職する人が多い
⇒ 介護業界のイメージをさらに悪くしている
〈福祉系学校の定員割れ〉
介護業界に対するマイナスイメージが影響し、新卒採用の中心となる福祉系学校での定員割れが増えている
⇒ 就職希望者がさらに減っている
〈やりがいや希望が見出せない〉
志を持って資格取得後に入職したケースであっても、仕事にやりがいや希望を見出せず、長続きしない
⇒ 介護業界から離れる人が増えている |
このような現状をふまえ、今回は「人材確保・人材定着」の視点から、週休3日制導入のメリットについて解説していきたいと思います。
1.職員の休みが増える
(週休2日制の場合)
・夜勤時間(8時間or16時間)により異なるが、公休は月8~10日程度であることが多い
・8時間夜勤では、空け休みを除くと丸1日休みとなる日は月4~6日程度となる
・16時間夜勤では、正職員の夜勤回数が月7~10回程度と多くなりがちで、他の職員とコミュニケーションを取ったり、日中の入居者を見たりする機会が少なくなっている
(週休3日制の場合)
・公休は月12~15日、有休の取得により月15~18日を休みとすることが可能
【週休3日制導入の成果】

2.連休や長期休暇が取得できる
(週休2日制の場合)
・連休が取りにくい
・5連休や夏休みなどの長期休暇は夢のような話であり、現実的には不可能
(週休3日制の場合)
・勤務表の作り方によっては、連休や長期休暇の取得が可能
【週休3日制導入の成果】


3.慢性的な残業が減る
(週休2日制の場合)
・基本的に早番、遅番、夜勤の3交代制なので、例えば午前中に予定していた入浴が滞ると、遅番の職員が出勤(12:00前後)してからのスタートになり、記録も含めると2時間前後の残業が発生する。※日勤職員がいる場合は除く
・人材不足のため、夜勤明けの職員が残業して起床や食事、入浴の介助を手伝っているケースが多く、精神的、肉体的にきついとの意見が聞かれている
(週休3日制の場合)
・早番、日勤、遅番、夜勤すべての勤務で無理なく定時退社が可能になる
・早番と日勤、日勤と遅番などが協働できる時間が多く、記録も含めて勤務時間内に終了することができる
【週休3日制導入の成果】


4.ワークライフバランスが保ち易くなる
(週休2日制の場合)
・丸1日の休みが少なく、ストレス解消やリフレッシュができない
・肉体的な疲れを取るために、自宅で寝ていることが多くなる
(週休3日制の場合)
・連休が多くなり、休みの時間を有効活用できる
例)1日目休養(体を休めたり、家族と過ごす時間が増える)
2日目教養(資格取得やスキルアップに向けた勉強ができる)
3日目活用(趣味の時間が増え、ストレス解消やリフレッシュができる)
5.職員の紹介による入職者が増える
(週休2日制の場合)
・「4」であげたような状況にある職員が、就職希望者に対して自身の職場を紹介するケースは非常に少ない(週休3日制の場合)
・「4」であげたような週休3日制のメリットを職員自らが宣伝してくれる
【週休3日制導入の成果】

6.施設のイメージアップが図れる
(週休2日制の場合)
・介護業界のイメージを変えられない
・求職者にアピールする材料が少ないため、選ばれない
(週休3日制の場合)
・求職者にアピールする材料が増える
例)業務負担が少ない、休みが多い、余裕をもって仕事ができる、OJTが充実しているので安心 …など
・上記アピールにより介護業界のイメージを変えることができるため、潜在有資格者や経験者などの人材の掘り起こし、介護業界を目指す新たな人材の獲得につながる
【週休3日制導入の成果】

7.離職率が下がる
(週休2日制の場合)
・「4」にあげたような状況が職場への不満となり、離職につながるケースが多い
(週休3日制の場合)
・連休の増加、残業の減少、ワークラーフバランスの向上などにより職場環境が改善し、定着率が高まる
【週休3日制導入の成果】

ここまで、週休3日制を週休2日制と比較しながら、そのメリットを紹介してきました。
週休3日制については、研修や説明会を通じてその内容を理解してもらおうとしても「やってみないと分からない」部分が多く、不安を抱えたまま導入した施設が多くあります。
しかし、実際に週休3日制のメリットが体感できると、最初は反対していた職員も、今は「週休2日制に戻りたくない」と話しているようです。
また、週休3日制を導入している施設には、全ユニットで導入したところと、一部のみで導入している施設があります。今回事例を紹介した施設では、まだ導入していないユニットの職員からも週休3日制を希望する声が聞こえており、さらなる導入につながっています。


以上、週休3日制導入がもたらす3つのメリット①人材確保・人材定着をご説明させていただきました。職場環境を整備することが人材確保・人材定着に大事であるという事がお分かりいただけましたでしょうか?
一方で、施設運営をする上でもう一つ大事なことがあります。それは、顧客(入居者)満足度(CS)です。職員満足度(ES)と同時に顧客(入居者)満足度(CS)を高めていくためには、「介護の質」が必要になってきます。
次回は 「週休3日制導入がもたらす3つのメリット~②介護の質向上」について詳しくご説明させて頂きたいと思います。
〈事例提供・取材協力〉
※希望により、一部イニシャル表記としております。
介護老人福祉施設 松風 http://www.heisei-kai.jp/
社会福祉法人徳誠会 春輝苑 http://www.syunkien.com/
宇都宮市の介護施設K
大田区の介護施設C
横浜市の介護施設S |