レクリエーションゲームの対象は,軽度~中度の利用者が中心であり,寝たきりに近い重度の利用者などは参加できないゲームもあります。ただ,「皆の笑い声が聞える」「皆の笑い声に包まれている」ことで元気になる利用者はたくさんいます。
ゆっくり休むことができること,痛みがないこと(軽減されること),生活のメリハリがあり,生きていると実感できること,(誰かが)優しい笑顔で話しかけてくれること,たくさんスキンシップをとってくれること,おいしいものを食べること,愛する人が面会に来てくれること,季節や自然を感じること,自分が尊敬され愛されていると確認できること…。もっとたくさんあるのでしょうし,個人差もあるでしょうが,これらのことが重度の認知症の利用者に安心感を抱かせることを,私は介護をする中で経験してきました。
アメリカの某介護施設では,重度の認知症の利用者の居室前にサイドボードのようなガラスの飾り棚が置いてあり,その中にはその利用者が過去に受けた勲章や好きだったスポーツの道具,若いころの写真,家族の写真などが置いてありました。職員や他の利用者などがその人の人生歴を知ることができ,居室を訪ねて「野球はどこを守っていたのですか?」と質問するなど,コミュニケーションを図るきっかけとなっているわけですね。サイドボードでなくても,昔の写真などを壁に貼って「この人は誰ですか? お母さん?」などと話しかけてみるのもよいですよね。たとえ言葉の意味が分からなくても,一緒に誰か懐かしい人の写真を見て,手をさすってもらって,優しく話しかけてもらえることは,その人に幸せなひと時を与えるのではないでしょうか。
施設の中の居室という狭い空間で介護を一方的に受けることによって,無表情になったり,うつ状態や情緒不安定になったりし,それによって著しく認知症が進行してしまう利用者は,残念ながら日本では多いのかもしれません。また,日中の活動量が少なくなると,不眠,昼夜逆転,食欲減退,便秘などの身体的症状が出てくることも多々あります。これらは一般的に「施設病」と呼ばれています。
そういう意味でも,日中,皆でわいわいと体を動かしたり,お喋りをしたりする時間はとても大事な時間です。「ああ,楽しかった。今夜はぐっすり眠れそう」「動いたからおなかが空いちゃった!」なんていう言葉が飛び交うような素敵な施設にしていきたいものですね。